『恐竜博2023』概要
上野の国立科学博物館で開催中の『恐竜博2023』へ行ってきました!科博での恐竜博は2019年以来の4年ぶりの開催です。
今回のテーマは装盾類(そうじゅんるい)の恐竜たちです。キャッチコピーは「トゲトゲ」!装盾類とは、全身を鎧のような皮膚、皮骨(ひこつ)で覆われた、植物食恐竜のことです。装盾類である、剣竜類や鎧竜類たちの貴重な化石が見られるとのことで…楽しみです!館内は写真撮影OKでしたので(フラッシュ撮影や動画、自撮り棒や三脚の使用は禁止)、撮影した写真で見学の様子をご紹介したいと思います!
今回は映画『ジュラシック・パーク』の主人公、アラン・グラント博士バージョンのワンコと一緒に行ってきました‼︎(こちらのマスコットは当ブログ古生物学者バージョンのワンコのマスコットを作って、恐竜発掘キットで遊んでみた‼︎ でも紹介しています!)
〜国立科学博物館での開催概要〜
◎開催期間…2023年3月14日(火)〜6月18日(日)
◎開催時間…9時~17時(入場は16時30分まで)
※毎週土曜日、日曜日は19時まで延長(入場は18時30分まで)
◎休館日…月曜日
※6月12日(月)は開館
チケットは公式サイトよりオンラインにて購入可能です。オンラインでの購入には日時指定予約が必要です。窓口にて、当日券の販売もありますが、数に限りがあり、時間は選べないようです。※空きがあれば、すぐに入場できます。
(公式サイトより引用)
とらおばは平日限定ペア券(4,200円)をオンラインで購入しました。平日ペア券は、その名の通り2人1組でお得に入場できるチケットです。通常は1人2,200円ですので、平日に友達やカップルと行く人は、合計で200円お安く入場できます。
こちらのペア券ですが、1人で2回使うこともできます。とらおばは1人で2回行くつもりでしたので(一緒に行く人がいないという噂も…)、ペア券を購入。1回目も2回目も日付指定が必須になりますので、まずは適当に日付指定の予約をしてから購入します。
(公式サイトより引用)
ペア券は購入後、チケットを分配する必要があります。一緒に行く人や、1人で2回行く人は別のメールアドレスに分配するチケットを送信します。分配されたチケットを表示すると、QRコードが出てきます。その画面がチケットになりますので、そのまま入場できます。
1人で2回行く場合は、同じ日には行かないと思いますので、分配されたチケット画面から、日付変更の手続きをします。日付変更は合計3回までできます。変更は指定された日時の1時間前まで可能です。
ペア券の購入方法ですが、公式サイトには詳細がなかったので、公式サイトに掲載されていた電話番号に問い合わせしました(1人で2回使う場合はどうやって使うのか?2回目の日付指定の方法など)。しかし、科博の方ではオンラインチケットの詳細は分からないとのことで…チケット会社にお問い合わせ下さいとのことでした(^_^;)主催側として把握しておいて欲しかったな…と思いました。
〜チケット料金〜
◎一般・大学生…¥2,200(税込)
◎小・中・高校生(高等専門学校生含む) …¥600
※ 未就学児は無料。
※詳しくは公式サイトよりご確認下さい。
🦖『恐竜博2023』公式サイト↓↓↓
『第1章 装盾類(そうじゅんるい)の進化』
会場は第1章から第5章まであります。会場内は撮影OKですが、フラッシュ撮影や動画、自撮り棒や三脚の使用は禁止です。その他、撮影禁止の展示物もあります。
第1章は『装盾類(そうじゅんるい)の進化』です。今展覧会の主役たち、トゲトゲ恐竜の祖先を学ぶ第1章です。
恐竜は、骨格の形状から様々なグループに分類されており、大きくは、鳥盤類(ちょうばんるい)と竜盤類 (りゅうばんるい )に分けられています。
現代の鳥の骨格に似ている鳥盤類は、さらに、装盾類(そうじゅんるい)と鳥脚類(ちょうきゃくるい)、周飾頭類(しゅうしょくとうるい)に分かれ、トカゲの骨盤に似ている竜盤類は、竜脚形類(りゅうきゃくけいるい)と獣脚類(じゅうきゃくるい)に分かれます。そしてさらにもっと細かく分けられていきます…
第1章は、鳥盤類の中に属する、装盾類の歴史を学びます。装盾類とは、体の表面が皮骨(ひこつ)と呼ばれる、骨からなるウロコで覆われた恐竜のことであり、剣竜と鎧竜がそれに含まれます。
まず初めに登場した化石は、2億3000万年前の初期恐竜たちです。
三畳紀に生息していた恐竜形類「アシリサウルス」、獣脚類の「エオドロマエウス」、前期ジュラ紀にいた鳥盤類「ヘテロドントサウルス」、そして竜脚形類の「エオラプトル」の化石です。エオラプトルは、発見の際には獣脚類に分類されていたそうですが、新たな研究により、現在は竜脚形類に分類されています。
そして今回の主役、装盾類の初期恐竜である、「スクテロサウルス」の化石。スクテロサウルスは、前期ジュラ紀の北米に生息していた小型で恐竜で、二足歩行だったそうです。装盾類の特徴である皮骨が全身を覆っています。
鎧竜類の祖先的な恐竜「スケリドサウルス」。鎧竜の起源の鍵を握る重要な存在であるスケリドサウルスは、ほぼ全身の化石が発見された最初の恐竜でもあります。スケリドサウルスの体も皮骨で覆われています。
歯の形状から草食だったと考えられており、前足は植物を引っ張ったり掴んだり、また、歩行にも使われたとのことです。二足歩行から四足歩行への進化の途中だったとされ、スケリドサウルスの方が装盾類の祖先に近いのではないか、とされています。
史上最大の恐竜、竜脚類のティタノサウルス類に属する「プエルタサウルス」です。体長35m以上、体重は80tもあります!太くずっしりとした4本の足が、長い首と巨大な体を柱のように支え、高い位置にある木々の葉も楽々食べていました。映画『ジュラシック・パーク』に登場したブラキオサウルスのように、後脚だけで体を支え、背伸びするように葉っぱを食べていたとも言われています。
プエルタサウルスの化石は第9頸椎、第2胴椎の2つしか発見されていません。体長35mというのは推定だそうですが、首の骨部分だけでこのサイズですので、納得できる大きさです。巨大な体は植物の繊維を分解、消化するのに適しているだけでなく、肉食恐竜から身を守る防御にもなったそうです。
竜脚類の卵の化石です。体の大きな竜脚類は卵を温める際に、うっかり踏んでしまう恐れがあったため、温泉の熱を利用して卵を温め孵化させていたそうです♨️
卵殻は恐竜によって厚さや大きさ、表面の柄など様々あります。卵の化石だけでは恐竜の種類までは分からないため、卵化石には卵専用の学名が付けられます。ファヴェオルーリサス卵科(卵の学名)は、卵殻の厚さが7.9mmもあり、竜脚類の卵ではないか?とされています。体の大きな竜脚類ですが、卵が小さい分、殻は分厚く丈夫にできているのでしょうか?
孵化直前の様子が分かる「オヴィラプトル科の胚/卵殻化石」です。卵の中で頭を押し込めたような姿勢の赤ちゃん、これは現代の鳥類が肺呼吸する直前の姿に似ているそうです。ということは、あと少しでこの世に生まれていたのかもしれません…😢
後期ジュラ紀に生息していた剣竜類、ステゴサウルス科の「ヘスペロサウルス」。装盾類の特徴である皮骨が背中に一列に並んでいます。このプレート状の皮骨は体を大きく見せる効果があり、肉食恐竜への威嚇にもなったそうです。
尾の先にある皮骨はスパイク状になっており、こちらは攻撃に使われたのではないでしょうか?攻撃されたら致命傷になりそうです…。
アジアで発見された鎧竜、アンキロサウルス科の「タラルルス」。鎧竜の特徴である皮骨に覆われた体と、尻尾の先には棍棒があります。
鎧竜類、ノドサウルス科の「アニマンタルクス」。名前の意味は「生きた要塞」。尻尾の先に棍棒がない代わりに、肩の周りのトゲトゲの存在感が凄いです。肉食恐竜にガブリっと噛みつかれても大丈夫⁇そうです。
鎧竜類、ノドサウルス科の「エドモントニア」の実物の頭骨化石です。鎧竜は体だけでなく、頭や目の窪みまでも骨で埋まっています。顎の筋肉がある側頭窓(そくとうそう)も骨で埋まっていた為、顎を閉じる力があまりなかったのでは?ともいわれています。
世界初❗️恐竜の喉の化石発見❗️鎧竜類、アンキロサウルス科の「ピナコサウルス」の喉の化石です。この発見により、将来、恐竜の鳴き声も分かるかもしれません。
装盾類の恐竜のような皮骨をもつ生物は現代にもいます。爬虫類のワニやトカゲ、哺乳類のアルマジロも皮骨をもっています。
『第2章 鎧竜ズールの世界』
今回の展覧会のメイン、鎧竜類「ズール」の登場です❗️ズールの実物化石は日本初上陸であり、所蔵しているカナダの博物館以外での公開も初なんだそうです!
ズール(ズール・クルリヴァスタトル)
分類:鳥盤類 装盾類 鎧竜類 アンキロサウルス科
時代:後期白亜紀
産出地:アメリカ モンタナ州
推定全長:6m
ズールの実物の頭骨化石です。体だけでなく、頭や目の周りもゴツゴツ、トゲトゲした皮膚で覆われています。ズールには他の鎧竜にはない特徴が、頭と尻尾部分にあることから、新種として認定されました。
ズールの体骨格産状。ズールのお腹側のレプリカです。アンキロサウルス科の恐竜が生きていた状態に近い形で発見されることは大変珍しく、貴重なのだそうです。しかもズールのように頭から尻尾の先までが繋がった状態での発見は、ズール以外のアンキロサウルス科ではほぼないとか?
しかし、繋がった化石を発掘するのには、とてつもない時間と繊細な技術、そして想像を絶する労力が必要でした。化石は岩の中に埋まっているので、岩ごと運び出して、岩部分だけを削って化石を綺麗に取り出さなければなりません。
運搬の為に、化石を岩ごと石膏で固めて補強したそうですが、その時の重さはなんと16tもあったそうです。私たちが博物館で化石を見られるのは、多くの人々の気の遠くなるような努力があったからこその奇跡なんですね。感謝…‼️
そしてこちらがズールの全身骨格の実物化石(背中側)です。学名は「ズール・クルリヴァスタトル」。
ズールの名前の由来は、映画『ゴーストバスターズ』に登場する「門の神ズール」からきています。ヴィジュアルがそっくり❗️ クルリヴァスタトルとはラテン語で「脛(すね)の破壊者」という意味があり、これはズールの棍棒が武器になることから付けられました。
ズールの実物化石がカナダの所蔵館以外で公開されるのも初ですが、頭から尻尾の棍棒まで、生きていた時の姿そのものの配置で展示されるのも世界初だそうです。頭骨の実物は別に展示されていますので、こちらの頭骨はレプリカですが、リアルな大きさが分かり、迫力のある展示です。
尻尾の軟組織までが綺麗に化石として残っています。この太く丈夫な腱があることで、尻尾がよじれたり、ちぎれたりすることなく、先端に付いた重い棍棒をブンブン振り回すことができたそうです。
1933年に発見されたティラノサウルス科の恐竜「ゴルゴサウルス」の実物頭骨です。全長9mのゴルゴサウルスですが、体のわりに顔は細く華奢です。正面から見ると、もの凄くうすい!
ズール・クルリヴァスタトルvs 肉食恐竜 ゴルゴサウルス。ズールが棍棒を振り回し、ゴルゴサウルスの脛を一撃している瞬間が展示されています。肉食恐竜といえど、脛に棍棒が直撃すればただでは済まないでしょう!実際に脛を骨折したゴルゴサウルスの化石も発見されているそうです。もしかすると、ズールの棍棒による負傷かもしれない…⁇
日本で発見された鎧竜の歯や頭骨の実物化石です。兵庫県丹波市で小学生が発見した鎧竜の歯、日本の恐竜産出地として有名な福井県勝山市で発掘された鎧竜類のノドサウルス科の歯、そして北海道夕張市で発見されたノドサウルス科の頭骨です。
ノドサウルス科の頭骨化石の発見は、日本で鎧竜の化石で歯以外の骨が発掘されたのは初めてだったそうです。さらにこのノドサウルス科の頭骨化石は、アジアで初めてのノドサウルス科の発見でもありました。ノドサウルス科の生息地がアジアにもあったとのことで、その後の研究にも大きく影響されました。
鳥盤類「テスケロサウルス」の実物の頭骨化石です。テスケロサウルスの歯以外の化石が見つかったのは大変貴重なんだそうです。
テスケロサウルスは、北米のティラノサウルスやトリケラトプスと同時代、白亜紀最末期に生息していました。「最後の恐竜」といわれたひとつであり、恐竜の絶滅を研究するにあたり、重要な存在でもあります。
ズールやゴルゴサウルスと同時代、白亜紀の後半に生息していたという、角竜類のケラトプス科の恐竜です。骨を薄くスライスし、成長停止線(年輪のようなもの)を調べたところ、この恐竜の年齢は2、3歳くらいであり、まだ子供だったのかもしれないとのことです。
そして、あらゆる特徴から新種の可能性もあり、現在も国立科学博物館にて絶賛研究中らしいです!
『第3章 北半球における獣脚類の進化』
第3章は、大人気恐竜、獣脚類の「ティラノサウルス・レックス」の登場です‼️初期のティラノサウルス類の大きさは現代のウマくらいの大きさだったそうで、1000万年ほどの間でここまで大型化したのだそうです。
大型化したティラノサウルスですが、赤ちゃんの時から大きいというわけではなく、生まれた時は秋田犬の「ハチ公」くらいの大きさなのだそうです。ハチ公サイズの赤ちゃんが、バスくらいの大きさまで成長するという…何を食べてどんな体の構造で大型化するのか?その辺りも研究中とのことです。
10m以上あるティラノサウルス2体がお出迎え‼️大迫力の展示です。これは撮影しないわけにはいきません❗️
獣脚類のティラノサウルス「タイソン」。推定全長は11m以上あります。約300ある全身骨格のうち177個が実物化石であり、実物化石を含むタイソンの全身骨格が公開されるのは、この恐竜博が世界で初めてです❗️
タイソンの上腕骨には他のティラノサウルスから咬まれた傷が残っています。仲間同士の争いで負ったとされる咬み跡は、骨にまで達するほどの怪我だったそうですが、幸い再生した形跡も残っていたそうで…凄い回復力です。さすが白亜紀の王者ティラノサウルスです。
タイソンよりもさらに大きい全長約13mティラノサウルス「スコッティ」‼️何だか美味しそうな名前だなぁ〜と思ったら、発見した時にスコッチウイスキーでお祝いしたことからスコッティという名がついたそうです…。
これまで発見されたティラノサウルスの中で、最も重い個体のスコッティ。迫力満点のスコッティですが、残念ながら東京展のみの展示とのことです。(『恐竜博2023』は東京展の後、大阪展がスタートします❗️)
ティー・レックスは映画『ジュラシック・パーク』シリーズでもお馴染みの恐竜です。シリーズ1作目の、大雨が降りしきる暗闇での初登場のシーンは、何度見てもドキドキです。
日本初公開❗️イタリアで発見された小型獣脚類「スキピオニクス」の実物化石です。気管・肝臓・胃・腸・血管などの軟組織までが奇跡的に化石として残った、世界が大注目する恐竜です。
前期白亜紀にいたスキピオニクスの全長は50cmほどの大きさで、孵化してから3週間未満の赤ちゃん恐竜ではないか?とのことです。
骨や内臓だけでなく、まるでレントゲン写真のように胃の内容物までも化石として見ることができます。爪も綺麗に残っています。
スキピオニクスの化石の詳しい図案も展示してありますので、そちらを写真に収めてから、実際の化石と照らし合わせると分かりやすいと思います。どういう理由で孵化した直後に化石になってしまったのか…。赤ちゃんの化石は珍しく興味深いですが、かわいそうな気もします…(;ω;)
そしてこちらも残念ながら東京会場のみ展示とのことです。
『第4章 南半球における獣脚類の進化』
北半球ではティラノサウルスが食物連鎖のトップとして君臨していましたが、南半球では別の獣脚類恐竜が頂点に立っていました。次は南半球の獣脚類の進化について学ぶ第4章です。
獣脚類、メガラプトル科の「メガラプトル」。ナイフのように鋭利な歯を持ち、獲物を切り裂く鋭いカギヅメを前脚に携え、体は大きく、さらに動きも俊敏だったメガラプトル。見つかれば絶体絶命、まさに無敵の王者です。
メガラプトルは『ジュラシック・パーク』シリーズに登場するヴェロキラプトルよりもはるかに大きく、全長は約8〜10mもありました。おもに南半球に生息していたメガラプトル類ですが、こんな恐ろしい肉食恐竜が日本にもいたそうです…。
福井県勝山市で発見されたメガラプトル類の「フクイラプトル」です。フクイラプトルは日本で初めて学名がついた恐竜です。
福井県勝山市は「恐竜のまち」として有名で、現在も新しい化石が見つかっています。こちらのフクイラプトルは福井県立恐竜博物館からやってきました。世界三大恐竜博物館のひとつである福井県立恐竜博物館、いつかこの博物館にも行ってみたいです❗️
頭にウシのようなツノがあることから「肉食の雄牛」の学名をもつ、大型獣脚類「カルノタウルス」です。前脚に注目です❗️上腕骨は太くしっかりしていますが、肘から下が異様に短いのが特徴的です。
全長は約8mありますが、前脚は40cmしかありません。そしてその短い腕ですが、指は4本あり、関節もしっかりした様子です。前脚の短縮化は進化の過程で起こっており、獣脚類のティラノサウルス科の恐竜も前脚が短いです。
カルノタウルスが属するアベリサウルス科は、そのティラノサウルス科の恐竜よりもさらに前脚が短く進化しており、獣脚類の中でもトップの短さだそうです。体のわりに小さ過ぎる腕は可愛らしくも見えますが、進化の過程で腕が長くなるのではなく、短くなるとは…謎です。カルノタウルスのこの可愛らしい前脚がどう使われていたのか…?現在も研究中だそうです。
こちらも恐竜展の目玉のひとつである、世界初公開❗️ 「マイプ・マクロソラックス」の実物化石です。2020年にアルゼンチンで発見され、2022年に新種として命名されたばかりの貴重な化石です。
学名である「マイプ」とは、「死の影」を意味するアルゼンチン・パタゴニア地方に伝わる悪霊のことだそうです。死の影とは…いかにも不気味で恐ろしい学名です。
前期白亜紀にいたフクイラプトルの大きさは4mくらいでしたが、後期白亜紀になるとメガラプトル類は大型化し、こちらのマイプの推定全長は10mと、メガラプトル類の中で最大級の大きさとのことです。後期白亜紀ということで、恐竜が絶滅する前に繁栄した最後のメガラプトル類でもあります。
アンデス山脈が連なる広大な大地から発見されたマイプ。現在もアルゼンチンのパタゴニア地方で発掘中ということで、今後新たな化石が発見されれば、全身骨格の復元もあるかもしれません‼️いつかマイプの全身像をこの目で見たいです。その時を楽しみに…。そしていよいよ『恐竜博2023』最後の章へ進みます。
『第5章 絶滅の最新研究』
恐竜博のラストは、恐竜が絶滅してしまったとされる「第5の大量絶滅」について学びます。
地球の歴史の中で、過去に5回の生物大量絶滅が起こっており、恐竜が絶滅してしまったのは、その5回目だったといいます。第5の大量絶滅はいかにして起こったのか?火山説や隕石説など様々な説があり、現在も研究中だそうですが、隕石衝突説が有力視されています。
今からおよそ6600万年前、地球に隕石が衝突。その後、地球環境が急激に変化し、生物が絶滅していったのではないか、と研究されています。
隕石衝突後、気温や大気などの環境変化により、多くの植物が滅んでしまいました。やがて大量の植物を食料としていた植物食の恐竜も絶滅し、植物食恐竜を餌としていた肉食恐竜も徐々に絶滅していった…。体の大きかった恐竜は大量の食べ物が必要だったわけで、生き延びるのは厳しい環境になってしまいました。1億6000万年もの間、地球の支配者として君臨し続けた恐竜の歴史が幕を閉じました。
環境の変化の中、生き延びた生物もいました。体の小さな哺乳類たちです。体が小さい為、少ない食料でも生きられ、環境の変化に大きく左右されることなく、順応することができました。また、地中に巣を作り、生息していた生物も隕石衝突の被害から守られ、絶滅を免れました。
そして、その生物の中には鳥類もいました。現代にもいる、ブッポウソウ目カワセミ科の鳥「カワセミ」です。カワセミは地中や樹洞(太い木の幹や枝にできた空間)などに巣を作り、繁殖します。地中や木の中に卵を産めば、外敵からも、そして隕石衝突による環境変化からも守られたのかもしれません。
体の小さい鳥類は少ない食糧でも生存ができ、成長に時間のかかる歯もない為、生まれてすぐに鋭いクチバシで硬い木の実や種を食べられました。そうして生き延びた鳥類ですが、恐竜には「鳥類起源説」があります。現代の鳥の祖先は恐竜だったのでは?という説です。つまり、絶滅したと思われていた恐竜も鳥類として進化を続け、新たな道を歩んでいました。
恐竜は羽毛があったり、抱卵して子育てをしたりと、現代の鳥類と共通点がたくさんあります。恐竜は絶滅していなかったのですね…!
『恐竜博2023』最後の展示は、かつてインド洋のモーリシャス島に生息していた、ハト目ハト科の鳥「ドードー」です。ドードーは天敵のいない島でのんびり暮らしていた飛べない鳥です。
しかし、人間がこの島を発見するや否や、たちまち乱獲が始まり、やがて環境破壊などで、1681年にドードーは絶滅してしまします…。ドードーはモーリシャス島にしか生息していなかった鳥でした。
人間の影響で絶滅に追いやられた生き物はドードーだけではないと思います。そして、今現在、人間以外の生物の「第6の大量絶滅」がすでに始まっているのだそうです。『恐竜博2023』の図録に、国立科学博物館の副館長のこのような言葉がありました。
「他の生物にしてみたら、私たちヒトが隕石のようなものなのかもしれない…」
(恐竜博2023の図録)
恐竜に代わり、地球の支配者として君臨する我々人間ですが、人間も地球に生きる生物の一部として、自分達以外の生き物や自然に敬意を払い、大切にしなくてはいけないと思います。地球が残してくれた様々な化石たちは、今を生きる私たち人類に何を語りかけているのでしょうか?
レストラン 『ムーセイオン』
地球館にあるM2階(中2階)にあるレストランへ行ってみます!
地球館のM2階にある『レストラン ムーセイオン』にやってきました。こちらのレストランでは、科博をイメージした面白いオリジナルメニューが頂けます。更に6月18日までは『恐竜博2023』とコラボした特別展記念メニューもあります!
レストラン名の『ムーセイオン』とは古代ギリシャの学堂の名称であり、ミュージアム(博物館)の語源だそうです。その名の通り、博物館にちなんだメニューが頂けるだけでなく、レストランの窓からは1階の展示室を眺めることができ、ミュージアムの中でお食事している雰囲気が味わえます。
初めてやってきたムーセイオン、なんと展示室が一望できる窓側の特等席に案内されました❗️目の前には体長約14mあるマッコウクジラの骨格標本が‼︎迫力満点の景色です。
1人で4人席なんていいのかな…とドギマギしてしまいましたが、お昼過ぎ(14時半頃)だったので、店内はあまり混んではいなかったです。
注文はタッチパネルで行います。先ほど、日本館B1にある『くじらカフェ』でおにぎりを食べたので、こちらではデザートを注文したいと思います。『恐竜博2023』とコラボした特別展記念メニューから、オレンジムースとチョコレートデザートを注文します。ちなみに、ムーセイオンもくじらカフェも、上野精養軒が運営しています。
展示室を眺めつつデザートを待ちます。1階展示室からレストランを見上げた写真です(赤い丸で囲んだ部分がレストランの窓です)。クジラの他、サメも泳いでいるように展示されており、下から見ると海中レストランのようです。幻想的ですね〜。
マッコウクジラの頭部は体長の約3分の1を占めるそうで、かなり頭が大きいのが特徴です。頭部には、脂肪組織や脳油、音波を出す器官などがあり、いずれも獲物を捕らえる為に発達した構造になっているそうです。
マッコウクジラの解説パネルは展示室にあるので、展示室で見学してからレストランに来ると、ベスポジで標本をより深く観察することができます。
『恐竜展2023』特別展記念デザートがきました❗️恐竜展の主役、トゲトゲ恐竜のズールをデザインしたデザートです。しぼり出したチョコやナッツでズールのゴツゴツした皮骨が表現されています。また、何層にもなったデザートは、化石を発掘するようなイメージにしているそうです。食べる時も楽しいですね!
確かにチョコクリームの入ったドーム型のチョコレートは硬かったので、発掘し甲斐がありました(^O^)
濃厚なチョコと爽やかなオレンジムースが絶妙なデザートでした!ごちそうさまでした😋
それでは常設展の見学に行ってきます…。
常設展見学
地球館の常設展へ行ってみます。特別展のチケットは、地球館と日本館内の常設展も見ることができます。地球館にもたくさんの恐竜の化石が展示されていますので、見に行ってきま〜す❗️
地球館の地下1階にやってきました。2019年の恐竜博で特集されたデイノニクスの化石です。「恐ろしいツメ」の意味をもつデイノニクス。デイノニクスの発見により、「恐竜温血説」と「鳥類の恐竜起源説」が生まれました。
デイノニクスの化石の発見は恐竜研究を大きく飛躍させ、「恐竜ルネサンス」と呼ばれています。
『ジュラシック・パーク』作品の全てに登場する重要な恐竜、ヴェロキラプトルですが、実はあのラプトル、デイノニクスのことだったそうです…。なぜデイノニクスがラプトルになってしまったのか…?色々と理由はあるようですが、実際のヴェロキラプトルはコヨーテくらいの大きさだそうです。
ちなみにグラント博士バージョンのワンコが持っているのは、映画のヴェロキラプトル(実際はデイノニクス)のカギヅメです。
角竜類のトリケラトプスです。こちらも人気の高い恐竜です。図鑑やドキュメンタリーでの紹介では、いつもティラノサウルスに襲われてる印象ですが…(;ω;)
『ジュラシック・パーク』のグラント博士が「子供の頃1番好きだった恐竜」と言っていたトリケラトプスです。映画では毒のある植物?を食べて苦しんでいました。あの後、あのトリケラトプスはどうなったのかが気になりますが…。
このように大部分がつながった状態で発見されるのは大変珍しいそうです。
「恐竜博」の主役トゲトゲ恐竜もいました❗️皮骨に覆われた鎧竜類「スコロサウルス」は、ズールと同じアンキロサウルス科の恐竜です。展示されてあるスコロサウルスの全身骨格はまだ子どもだそうです。成長すると尻尾の先にある棍棒も、かなりの大きさになります。
特別展に展示されていた「ヘスペロサウルス」と同じ剣竜類の「ステゴサウルス」です。剣竜類の特徴である板状の骨が背中に一列に並んでいます。こちらの全身骨格もまだ子どもだそうです。
ステゴサウルスの尻尾の先のスパイクです。成長したステゴサウルスの大きさは全長約7m。尻尾のスパイク部分の長さは1.2mにもなるそうです!
地下2階に展示されてある「ディメトロドン」です。恐竜が生まれるずっと昔、古生代に生息していた、肉食生物のディメトロドン。ディメトロドンは恐竜ではありませんが、『ジュラシック・ワールド』の最新作に登場していました。暗闇から突然現れ、グラント博士たちを追い詰めたあの恐ろしい生き物です(><)
常設展にはまだまだたくさんの恐竜や生物の化石が展示されています!全てをじっくり見るには時間が足りません!閉館のアナウンスが流れてきましたので、続きはまたの機会にします!
グッズ紹介、『恐竜博2023』の感想
2019年の恐竜博では、展示室とグッズ売り場の間に、パネル展コーナーや化石のクリーニング作業が見られるエリアがあり、展示コーナーが終わってからも嬉しいサプライズだったのですが、今回はありませんでした…。ちょっと楽しみにしていたので、残念😢❗️
化石クリーニングの実演コーナーはありませんでしたが、グッズ売り場の壁面にパネル展示はありました。ゴジラの模型やゴジラとのコラボグッズも…!
図録やTシャツ、お菓子やステーショナリーなどのオリジナルグッズがたくさん並んでおり、どれも欲しくなってしまいますね〜。
ズールとマイプのぬいぐるみは人気商品のようで、1回目に来た時は売り切れでしたが、2回目に来た際には再入荷していました‼️
入場時に貰ったステッカーです。こちらは平日限定の特典です。絵柄は時期によって変わります。写真のステッカーは第2弾と第3弾です。第1弾も欲しかったなぁ〜。(東京展のステッカー配布は終了してしまったようです💦)
(恐竜博2023で購入したグッズ)
4年ぶりの「恐竜博」、今回もたくさんのことを学べました!恐竜の進化の歴史や今後の新発見につながる貴重な化石、そして第6の大量絶滅についても…。
すでに始まっている「第6の大量絶滅」は、我々人類の環境や他の生物への配慮のなさが引き金になっているのかもしれません。人間都合の便利さばかりが優先され、人間以外の生き物や環境をいとも簡単に破壊しています。
近年では「エコロジー」という言葉や取り組みが流行っています。ある冊子で読んだのですが、エコロジーには、シャローエコロジーとディープエコロジーという概念があるそうです。シャローは浅い、ディープには深いという意味があります。浅いエコロジーはまさに、現代に流行っている企業が進める人間都合、利益重視のエコ、そして深いエコロジーとは、環境を優先的に考えたエコだそうです。
便利は人間の生活において、暮らしやすさ、豊かさに繋がる重要なシステムですが、環境を破壊し、他の生物を絶滅に追いやってまで必要なものなのでしょうか?
人間も他の生物同様、地球に暮らし、生かされている存在だということを忘れず、何をするにも自分達の行いが地球にどう影響するのかを考えることが大切なのかもしれません。
私たちが捨てるゴミや流す水は、どこかに消えるわけではなく、いずれ自分たちの元へ戻ってきます。そして、太古の地球で人類よりも遥かに長い歴史を歩んできた恐竜たちに敬意を払い、慎ましく生きていきたいと思います。人類の大先輩である恐竜たちの化石(メッセージ)に耳を澄ましながら…。
動画のご紹介
『恐竜博2023』へ行った様子は動画でもご紹介しています‼️
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