岩倉温泉さんへのアクセス
源泉掛け流し100%の温泉巡り第4弾。今回は秋田県にある、岩倉温泉「旅館 岩倉温泉」さんへ行ってきました!岩倉温泉へのアクセスは、東京からだと秋田新幹線で大曲駅まで向かいます。所要時間は約3時間15分です。その後、大曲から岩倉温泉行きのバスに乗ります。
バス停は大曲駅西口から徒歩3分くらいの場所にある羽後交通大曲バスターミナルです。1番乗り場から発車する「岩倉温泉行き」のバスに乗り、終点の岩倉温泉で下車。宿はバス停のすぐ前にあります。バスの所要時間は約40分です。バスの乗車賃は600円。ICカードは使えません。予め小銭を用意するか、バスターミナルで切符をお買い求め下さい。宿の送迎はありませんが、アクセスは非常に便利な秘湯です。
大曲駅構内には観光案内所もあり、秋田の名産品が取り揃う土産物屋も併設されています。西口駅前には巨大な花火玉が置かれています。大曲といえば、毎年8月に行われる「全国花火競技大会」が有名です。
大曲の花火大会は明治43年にスタートしました。「花火競技大会」の他、大曲では毎月様々な花火大会があります。まさに「花火のまち」です。西口駅前には飲食店や土産物屋が並ぶ「花火通り商店街」がありますので、食事や買い物も便利です。
バスが来るまで時間があったので、商店街を抜けた場所にある老舗和菓子屋「菓子司 つじや」へ、秋田名菓である三杯もちを購入しに行きました。大曲で古くから親しまれている郷土菓子「三杯もち」は小豆餡、米粉、小麦粉、砂糖で練り上げられた柔らかい和菓子です。添加物も入っておらず、常温でも持ち歩けるのでお土産にはピッタリです。クルミ入りの一本タイプとクルミが入っていない一口サイズもあります。
岩倉温泉とは
岩倉温泉には温泉宿は一軒のみです。宿の名前も「岩倉温泉」。岩倉温泉さんの歴史は古く、江戸時代の正保4年(1647年)には温泉が湧出していたという記録があります。こちらのご先祖様が佐竹藩の湯守りをしていた為、元々はお殿様のお湯だったそうです。そのお殿様が入浴されていたという、露天風呂跡も宿の近くに残っています。
お宿のご紹介
温泉巡りでいつも参考にしている本です。今回もこちらの本を参考にしました。この本によると温泉旅館13500軒中、源泉100%の宿はたったの1%しかないそうです。こちらの本が2016年発売ですので、現在では状況が変わってしまった宿もあるかもしれません。以前行った温泉宿では高温ゆえに加水をしている所もありました。生まれたままの源泉を壊す事なくベストな状態でお客に提供する事は、自然の恵みと宿の方の血の滲むような努力がなくては出来ません。湯量や高温に苦労する宿であれば仕方ないのかもしれませんが、やはり源泉100%の温泉を求める身としては残念です。
岩倉温泉さんはその1%に入る貴重な温泉宿です。岩倉温泉さんのご主人の源泉へのこだわりは強く、加水も加温も循環も消毒もない正真正銘源泉100%の温泉宿です!今回は2年ぶりの利用です。
バス停を降りるとすぐ目の前に宿があります。宿の前に流れる川では、毎年6月20日〜7月10日くらいまで蛍が見られます。
宿の玄関入り口には「日本秘湯を守る会」の立派な提灯があります。岩倉温泉さんは日本秘湯を守る会の会員宿でもあります。江戸時代には紀行家の菅江真澄が、岩倉温泉さんに逗留したそうです。宿の近くには菅江真澄が歩いた道も残っています。
館内、お部屋のご紹介
玄関を入り、右手にフロント。ロビーはこちら。壁紙や照明など和と洋がミックスされたモダンな雰囲気です。どこかレトロな感じも落ち着きます。
ロビーの窓ガラスに広がるのは中池です。以前は鯉がたくさん泳いでいましたが、現在は大雨などの災害で流されてしまったそうです…。山から来るタヌキも鯉を取ったりするそうです。都会では滅多に会うことのないタヌキ、可愛いというイメージでしたが、意外とワイルドなんですね!
ロビーには売店もあります。お茶やジュース、お酒などもこちらで購入出来ます。夕食時に頂くお酒もこちらから選びます。
岩倉温泉さんの客室は全部で7部屋。全て1階にあります。1部屋だけバス、トイレ付きの部屋もありますが、それ以外はバス、トイレ、洗面所は客室内にはありません。廊下の突き当たりに共用の洗面所とトイレ、大浴場があります。廊下には段差や数段の階段もありますが、一部スロープもあります。ややバリアフリー対応にもなっているのでしょうか。
今回お世話になるお部屋はこちら「竹の間」です。
部屋にはテレビ、冷蔵庫、金庫があります。ポットは保温用ポット。
お茶セットとサービスのお茶菓子です。こちらのお菓子は大仙市にある正貢堂という洋菓子店のクッキーで、宿の売店でも販売されていました。
窓の外には川が流れています。カジカガエルの鳴き声が聞こえてきます。椅子に座ってボーッとしていたら、タッタカ、タッタカと足音が。窓の外を見ると、すぐ前の道路をカモシカが走り去って行きました。
こちらは浴衣セット。バスタオル、フェイスタオル、アメニティは歯ブラシ、クシ、シャワーキャップ。タビックスもありました。
以前来た時も初夏でしたが、部屋は涼しく快適でした。冬は東北地方ですので寒さが厳しいと思います。こちらが暖房でしょうか?次回は雪景色の岩倉温泉さんにもお邪魔してみたいです。
館内はWi-Fiも利用出来ます。
浴場のご紹介
大浴場は廊下の突き当たりにあります。男女とも内風呂のみで、露天風呂はありません。大浴場前には、日帰り入浴客用のロッカーがあります。岩倉温泉さんでは日帰り入浴も可能です。入浴料金は400円です。
大浴場の手前にトイレがあり、洗面所があります。トイレは綺麗な洋式トイレです。
トイレの窓からは、湯の神であるお薬師様が見えます。
洗面所の左側からは温泉が出ます。初めは冷たい温泉が出ますが、しばらくすると温かい温泉に変わります。岩倉温泉さんの温泉は飲泉も可能です。飲泉効果としては、萎縮性胃炎や便秘に効果があります。マグネシウムやミネラルが含まれている為、飲み過ぎるとお通じが良くなり過ぎるとの事、ご注意を…!まろやかで美味しかったので、ついつい飲んでしまいます。右側は井戸水(地下水)で、こちらも飲めます。
洗面所前には、温泉分析書が掲示してあります。加水、加温、循環、一切ありません。入浴剤、消毒剤も使用していません。
泉質…ナトリウム・カルシウム–塩化物・硫酸塩泉
pH7.7
湧出量…毎分700ℓ
泉温…58℃
循環、加水、加温なし
こちらが女湯の脱衣所です。洗面所とドライヤーが1台づつあります(ドライヤーは部屋にはなく、こちらのみです)。壁には鏡が設置されています。
岩倉温泉さんの大浴場はこちら。大きな浴槽を壁で仕切り、男湯と女湯を分けています。龍の湧出口がある所から男湯が見えてしまいますので、お気をつけ下さい!(写真は夜と朝が混ざっています)
洗い場は2つ。その内、シャワーは1つです。蛇口、シャワーからも温泉が出ます。硫酸塩泉という泉質上、石鹸やボディーソープは泡立ちにくい為、置いてあるのはシャンプーのみです。
鎮静効果の高い岩倉温泉さんのお湯。様々な体の痛みを改善するだけでなく、ストレスや鬱、睡眠障害など、精神的な症状にも良いそうです。
岩倉温泉さんのお湯は別名「深い眠りの湯」とも呼ばれています。湯気にリラックス効果があり、吸い込むことによりぐっすり眠れるそうです。またこの湯気にはアレルギー性鼻炎や花粉症を改善する効果もあり、目にも良いそうです(目洗いの湯とも言われています)。
浴槽は約80㎝ほどの深さがありますが、座る場所があるのでゆっくり浸かれます。源泉温度は58℃ありますが、敷地内にある湧出口からポンプアップされた源泉を壊すことなく、自然に温度調整し、適温(42℃)を浴槽に注いでいます。
ちょうど良い温度と柔らかいお湯。湯気の効果もあり、早くも眠たくなってきました…。
お湯には保湿効果もあり、皮膚にも良いとのこと。こちらのご主人も女将さんも肌が綺麗で、女将さんのお話だと、日頃のスキンケアはほぼ温泉のみ、ということで驚きました。
ちなみに温泉はチェックインの15時からチェックアウトの10時迄、いつでも入浴出来ます。夜中も入れますので、就寝前にもゆっくり入浴出来ます。
夕食のご紹介
夕食は18時です。「ぼたんの間」というお食事処で頂きます。日帰りのお客さんはいましたが、本日の宿泊客は私だけのようで、食事処を貸し切りで使わせて頂きます。事前にアレルギーや食べられない物も相談させて頂き、快く対応して頂きました。
秋田の郷土料理と山菜が中心のメニューです。山菜は全てご主人と女将さんが山で取ってきたものです。つくし、ふき、ゼンマイ、ワラビ、コゴミなど、山菜好きには嬉しいメニューです。
焼き魚はニジマスの塩焼きです。焼き立てを提供してくれ、香ばしくて美味しいです。
秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」。山菜やキノコがたっぷり入っています。お出汁も美味しい!
お酒はこちら。先ほど売店で選んだ、大仙市のお酒「刈穂」です。料理にも合い、美味しかったのでお土産にも購入しました。
揚げ物は秋田の特産品であり、郷土料理でもある「ジュンサイ」の天ぷらです。古くから日本で栽培されていた水草の一種である「ジュンサイ」。現在では生産地が減少してしまい、全国の9割を秋田県で栽培しています。独特な食感で美味しいです!干し柿の天ぷらも甘くて美味しいです。
デザートは自家製の豆乳ヨーグルトです。食事処にはテレビもあります。普段は全くテレビを見ませんが、こうして旅先でテレビを見ると、浦島太郎になった気分になります。ちょうどニュース番組で、大曲の花火競技大会が中止(来年に延期)になったという残念なお知らせが発表されていました。
朝食のご紹介
朝食は7時30分にお願いしました。朝食も「ぼたんの間」で頂きます。山菜が中心の和食メニューです。
温泉卵と焼き魚は鮭です。お水が綺麗で美味しいので、お米も美味しく、ご飯が進みます。トマトジュースもあります。
夕食、朝食とも、山の幸たっぷりのお料理はどれも美味しかったです!山菜は、春に山で取れた分を塩漬けにして保存するそうですが、やはり山菜が1番美味しい季節は春との事です。秋はキノコ料理が並ぶそうです。美味しそう!
感想、まとめ
2017年に秋田県を襲った豪雨災害では岩倉温泉さんも大変な被害に遭われました。宿の中まで浸水し、客室も全て泥に覆われてしまい、一時は宿の存続も危ぶまれました。しかし、地元の方々やボランティアの方々の力によって、宿は綺麗になり、2018年の1月、無事に営業を再開出来たそうです。
江戸時代から守られ続けた歴史のある素晴らしいお湯は、温泉の効能の良さはもちろん、ご主人や女将さん、そして地元の人々の思いも詰まった特別なお湯なのだと痛感しました。
湯気にも温泉のパワーがある岩倉温泉さんのお湯。湯気に含まれるリラックス効果は、湯冷めしにくい成分が源泉に含まれているからなのだそうです。その湯気には頭をスッキリさせる効果もあるという事で、頭も体もバッチリ疲労回復いたしました!頭痛持ちの私にはピッタリのお湯でした!
帰りに大曲駅の観光案内所で、宿でも食べた秋田の郷土料理「いぶりがっこ」を購入しました。いぶりがっことは、大根を薫製にし、米ぬかや塩で漬けた漬物の事です。冬場に漬物用の大根が凍らないように、薫製にしてから漬けるのだそうです。「がっこ」とは、秋田の方言で「漬物」と言う意味です。燻した香りと程よい塩味がクセになります。
*宿泊のご予約やお問い合わせは宿の公式サイトよりご確認下さい。「日本秘湯を守る会」の公式サイト(会員制)からもご予約可能です。
〒019-1944 秋田県大仙市南外字湯元1 旅館 岩倉温泉
TEL 0187-74-2345
FAX 0187-74-2346
今回の宿泊費/1泊2食付 大人1人¥12,100(税込)
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