桝形屋さんへのアクセス
源泉掛け流し100%の温泉巡り第5弾。今回は福島県と山形県の県境にある、姥湯温泉「桝形屋」さんへ行ってきました!姥湯温泉へのアクセスは、東京からだと東北新幹線で福島駅まで向かい、その後奥羽本線で峠駅まで向かいます。今回は夏の青春18きっぷを利用して、在来線で行きました。
上野駅を朝の7時16分に出発し、宇都宮、黒磯、新白河、郡山、福島と乗り継ぎ、奥羽本線で峠駅に向かいました。所要時間は約6時間でしたが、5回も乗り換え、それぞれの電車の乗車時間が殆ど1時間以内だったので、あまり長くは感じませんでした。峠駅からは宿泊客のみ、宿の送迎車を利用出来ます。
峠駅に向かう奥羽本線の1日の本数は6本しかありません。12時51分を逃すと、次は16時04分まで電車は来ませんのでご注意を!
13時20分、峠駅到着。スノーシェッドに覆われ、独特な雰囲気を放つ峠駅。この辺りは豪雪地帯の為、雪崩防止対策用にこのような作りになっています。外は蒸し暑いですがスノーシェッド内は涼しく、冷んやりしています。
奥羽本線内では最も標高が高い626mの場所にある峠駅。板谷峠にある峠駅はスイッチバックの駅としても有名です。奥羽本線には4駅連続のスイッチバック駅があります。赤岩駅、板谷駅、峠駅、大沢駅です。峠駅は、スイッチバックの駅としても最高地点にあります。
平成2年に山形新幹線が開業したことにより、スイッチバックは廃止になりましたが、現在でもスイッチバック時代に使われていたと思われるレールや旧駅舎の駅名標、折り返し線用のトンネルなど、スイッチバックの面影を探す事が出来ます。
峠駅は無人駅です。1日の電車の本数は上下合わせて12本です。トイレはありますが、トイレットペーパーはありません。熊に注意!の貼り紙がありました!
駅のすぐ近くに「峠の力餅」で有名な「峠の茶屋」さんがありますので、電車の待ち時間などに利用するのも良いかと思います。峠の力餅は、電車到着時にホームまで売り子さんが売りに来てくれるので、昔ながらのスタイルで、電車の窓からも購入することが出来ます。その場合、峠駅の停車時間が30秒くらいなので事前にお金の用意が必要ですね。(10個入¥1,000)
姥湯温泉とは
姥湯温泉は山形県米沢市の吾妻連峰北側、標高1,300mの高さにあります。姥湯温泉の歴史は古く、天文2年(1533年)に、鉱山師の遠藤大内蔵氏によって見つけられ、開湯されました。
鉱山師の遠藤大内蔵が鉱脈を求め歩いていた際、川辺で昼寝をし、こんな夢を見ました。露天風呂に浸かる一人の女性がいました。不思議に思い近づくと、その女性はなんと恐ろしい形相をした山姥だったそうです。その山姥から「金(きん)を掘らずに、この湯を守れ」と忠告された大内蔵。夢の中の山姥のお告げ通り、この桝形屋を開業しました。「姥湯」という名前は、この山姥にちなんで付けられたそうです。
お宿のご紹介
温泉巡りでいつも参考にしている本です。今回もこちらの本を参考にしました。この本によると温泉旅館13500軒中、源泉100%の宿はたったの1%しかないそうです。こちらの本が2016年発売ですので、現在では状況が変わってしまった宿もあるかもしれません。以前行った温泉宿では高温ゆえに加水をしている所もありました。生まれたままの源泉を壊す事なくベストな状態でお客に提供する事は、自然の恵みと宿の方の血の滲むような努力がなくては出来ません。湯量や高温に苦労する宿であれば仕方ないのかもしれませんが、やはり源泉100%の温泉を求める身としては残念です。
桝形屋さんはその1%に入る貴重な温泉宿です。また、「日本秘湯を守る会」の会員宿でもあります。ダイナミックな岩壁から自然に湧出される源泉は、加水も加温も循環も消毒もない正真正銘源泉100%です。ずっと訪れてみたかった秘湯の一つであり、今回は初めての利用です。
峠駅を車で出て約20分、宿の駐車場に到着です。その後、宿までは吊り橋や坂道を歩きますので、大きなに荷物はゴンドラに預け、ケーブルで先に運んでくれます。
桝形屋さんの宿が見えてきました。周囲を取り囲むようにそびえ立つ岩山。岩肌から流れ落ちる川の音。そして水墨画のような霧がかった空が、更に秘湯感を高めます。標高が高いという事で、夏とは思えない凛とした涼しさを感じます。桝形屋さんは豪雪地帯でもある為、冬季の営業はしていません。毎年、4月末から11月の初旬までの営業という事ですが、詳しくは宿にお問い合わせ下さい。
館内、お部屋のご紹介
こちらが外観です。入ってすぐ右手がフロント。チェックインの手続きをします。
ロビーには売店や自動販売機などがあります。売店では桝形屋さんオリジナルの湯の花と、源泉石鹸が販売されています。帰りにお土産に購入しました。
オリジナルの湯の花は桝形屋さんの源泉から採取し、宿で作られた物です。200gが1,000円、100gが580円で販売されています。源泉石鹸は600円です。
フロント前には休憩室(談話室)もあります。桝形屋さんの公式サイトのご案内によると、こちらの休憩室(談話室)は宿泊客用との事。日帰り入浴の方が休憩する場合は、玄関前やロビーにベンチがあります。
秘境に佇む一軒宿、という事ですが、館内はとても綺麗で整備されています。建物は木造の2階建で、客室は全部で13部屋あります。
今回は2階の「白樺」というお部屋にお世話になります。
部屋にはテレビ、金庫、ポット、扇風機やストーブなどが完備されています。訪れたのは7月の後半でしたが、涼しく快適でしたので、扇風機は使いませんでした。
サービスのお茶菓子はこちら。宿の売店でも販売されている桝形屋さんオリジナルの甘いお煎餅です。
洗面所もトイレ(ウォシュレット付き)も各部屋に付いています。
浴衣とバスタオルと宿の名前入りのフェイスタオル。アメニティはハブラシのみ。
窓の外には迫力満点の渓谷美が広がります。豪快に流れて行く川の音は窓を閉めていても聞こえてきます。天然のBGMを聴きながら、吸い込まれそうな岩山の世界を眺めていると、時の経つのも忘れそうになります。美しい自然の景色はいつまで見ていても飽きません!
窓から見える景色です。
浴場のご紹介
温泉は露天風呂が3カ所と内風呂が1カ所あります。露天風呂は、2階廊下の突き当たりにある扉から外へ出ます。桝形屋さんでは日帰り入浴も受け付けており、その場合は露天風呂のみの利用になります。日帰り入浴は9時30分〜15時30分までで、大人600円で、子供300円です。
露天風呂は全部で3カ所あり、1カ所が女性専用、残り2カ所は混浴です。露天風呂の利用時間は午後10時までで、時間によって女性専用と混浴が入れ替わります。内風呂の方は24時間利用可能です。
午後6時まで女性専用になる露天風呂「瑠璃の湯」です。露天風呂までは急な階段がありますので、慎重に登ります。
こちらが「瑠璃の湯」の脱衣所です。カゴのみのシンプルな脱衣所です。
脱衣所内には温泉分析書が掲示されています。岩壁から自然湧出される源泉の湧出口は全部で6カ所あり、宿にはその内の1本を使っているそうです。残りの源泉は川へ放出されます。露天風呂、内風呂とも源泉は全て同じです。
こちらが露天風呂「瑠璃の湯」です。洗い場はありません。手桶のみ用意されていますので、こちらで掛け湯して入ります。
姥湯温泉の泉質は、単純酸性硫黄泉です。硫黄独特の香りが立ち込めています。酸性ですので、飲泉は出来ません。また肌が敏感な方には刺激があるかもしれません。私は硫黄も酸性も肌に合うので全く問題ありませんでした。少し舐めてみましたが、金属のような味が舌にビリビリきました。
源泉温度は51℃です。宿の方が定期的に湯温を確認しにいらしていました。51℃の源泉を、湯量などを調節し、自然に適温にしているそうです。加温も加水も消毒も一切していません、との事。もちろん循環もしていません。湯加減を聞かれましたので、若干肌寒かった為、少しぬるいかもしれない…と感想を言いましたら、2回目に行った際は丁度良い温度になっていました!
見渡す限りの大自然に、とにかく圧倒されます。流れる出る温泉と谷川の音に包まれながら、至福の時間を堪能します。
続いて、2箇所目の露天風呂へ向かいます。「瑠璃の湯」から更に奥へと進み、橋を渡ります。午後6時〜午後8時と、朝6時〜朝8時30分までが女性専用になる「薬師の湯」です。
こちらが脱衣所。かなり開放的な脱衣所です。秋以降は寒そうです。温泉分析書も掲示されています。
こちらが「薬師の湯」です。やはり洗い場はなく、手桶のみです。「瑠璃の湯」よりも浴槽にある岩がワイルドです。岩山の距離も近くなり、目の前に迫ってくるような勢いの岩壁に圧倒されます。
自然湧出された源泉が上から流れてきます。真っ白なのは湯の花です。
岩肌を覆いつくす原生林は、コメヅカ、ブナ、ダケカンバなどだそうです。カモシカが見える事もあるそうですが、残念ながら姿は確認出来ませんでした。温泉にはいませんでしたが、温泉の周りにトンボがもの凄いたくさん飛んでいました!
続いて最後の露天風呂へ向かいます。こちらも午後6時〜午後8時と、朝6時〜朝の8時30分までは女性専用です。1番奥にある「山姥の湯」です。
こちらが脱衣所。「山姥の湯」のみ脱衣所が男女分かれています。
同じく洗い場はなく、手桶のみです。
3箇所ある露天風呂の中では最も広い「山姥の湯」。桝形屋さんの先代が夢で見たという、山姥が入っていた露天風呂とはこちらの事でしょうか?戦国時代から山姥の教えを守り、温泉宿を守り続けているのって凄い事ですね!
新緑や紅葉、夜は満天の星空など、季節や時間によって景色が楽しめます。この日は生憎の曇り空と夜は雨でしたので、星空は見えませんでしたが、霧で霞む風景も神秘的で綺麗でした。
皮膚炎や神経痛、高血圧にも良いとされる姥湯温泉ですが、この絶景も効能の一つかもしれません。鳥のさえずりも心地よく、女性客がいなかったのか、終始露天風呂を貸し切りで利用させて頂き、最高の贅沢でした。
温泉の色は濁りのある青白色です。太陽の光によって、薄い青だったり、輝くように美しい青だったりと変化します。温泉成分に含まれるメタケイ酸(シリ力)の含有量が多い高温の温泉の特徴だそうです。濁りは硫黄泉の特徴の一つでもあります。
こちらが夜の風景です。夜の露天風呂は幻想的で、また違う雰囲気を楽しめますが、ほぼ電灯がないので、日が暮れてから露天風呂を利用する際は足元に気をつけて!露天風呂は午後10時に消灯されますので、利用も午後10時までです。
姥湯温泉の名前にもなった山姥が入っていたかもしれない「山姥の湯」です。浴槽も1番広く、渓谷にも1番近い、桝形屋さんのメイン露天風呂です。「川へ近づかないで。落石注意」との看板がありました。好奇心で岩場の下を覗き込まないよう気をつけます!
最後に内風呂のご紹介です。廊下の突き当たりに内風呂が男女各1箇所ずつあります。手前が男湯、奥が女湯です。こちらは共用の洗面所。共用のトイレも廊下にありました。ドライヤーは脱衣所にもあり、フロントで貸し出しもしてくれます。
脱衣所です。洗面台とドライヤーが1台ずつと、脱衣カゴがあります。内風呂は宿泊客専用で、10時のチェックアウトまで24時間入浴出来ます。(確か朝10時から清掃時間になったと思います)
洗い場は2箇所あり、それぞれシャワーも完備されています。シャワーと蛇口のお湯は温泉ではありません。シャンプー、リンス、ボディソープは「日本秘湯を守る会」のオリジナル製品。宿の売店でも販売されていました。
こちらが内風呂です。檜造りの浴槽です。露天風呂に比べ、こじんまりとしていますが、落ち着いてゆっくり出来るので、内風呂も気持ち良かったです。深夜に利用しましたら、灯りを頼りに様々な虫がやって来ました。硫黄泉の換気の為に開けてある窓から入って来たのだと思います。
源泉は露天風呂と同じですが、室内という事や浴槽のサイズも小さいという事で、温度は露天風呂より熱く感じました。深夜も入れるのは嬉しいですね!
廊下に掲示してある温泉分析書です。
泉質…単純酸性硫黄泉(低張性酸性高温泉)
pH2.6
湧出量…毎分300ℓ
泉温…51℃
湧出状況…自然湧出
循環、加水、加温なし
夕食のご紹介
夕食は部屋食でした。以前はお食事処で頂くスタイルだったそうですが、こういうご時世という事での配慮でしょうか?まぁ、一人旅だと部屋食の方が気楽でいいですよね。5時半くらいから各部屋に配膳がスタートします。お肉が食べられないので、メインなどはお魚に変更して頂きました。バランスも良く、色合いも綺麗です。
こちらは鮭のホイル焼きです。全体的に豪華さはないかもしれませんが、家庭的で一つ一つ丁寧に作られている感じがします。アレルギー食材等にもきちんと対応して頂き、助かりました。
しばらくすると、茶蕎麦を持ってきてくれました。追加注文やお酒のメニューも豊富です。
「日本秘湯を守る会」オリジナルの秘湯ビールと山形県の日本酒を注文しました。秘湯ビールはブナの樹の天然酵母とブナの地下天然水で作られたビールとの事。初めて飲みましたが、ほんのり苦味があり、さっぱりとして飲みやすく、お魚にも合ったので、帰りにお土産に購入しました。
日本酒は、山形県米沢市にある新藤酒造店さんの「雪国慕情」というお酒を注文しました。出羽燦々(でわさんさん)という山形県のお米と、吾妻山系の伏流水を使用して作られた無濾過のお酒です。こちらも美味しかったです!
食後にはデザートもありました。胡麻のプリンです。窓の外からは川の流れる音だけが響きます。お酒も美味しく、部屋で一人のんびり食事を楽しめました。
朝食のご紹介
朝食も部屋で頂きます。時間は7時15分からスタートです。焼き魚がメインの和食です。
お鍋にはお味噌汁が入っています。
温泉宿の朝食と言えば、温泉卵。半熟というイメージでしたが、割ってみると、茹で卵くらいの加熱加減でした。でも美味しかったです。
食後にはコーヒーのサービスも。コーヒーブレイクして、再び温泉へ!叙々に晴れ間が差してきました。今日は良いお天気になりそうです。
お昼ごはん
チェックアウトは通常10時ですが、峠駅の上り列車が13時26分ですので、宿の方のご案内で延長させて頂きました。延長料金は¥1,100です。12時30分くらい迄滞在出来るそうなので、昼食も桝形屋さんで頂く事にしました。
昼食は、お蕎麦やうどん、ステーキなどもありますが、シンプルにおにぎりにしました。それとお味噌汁も注文します。お昼のオーダーは朝食時に注文出来ます。ボリュームのあるおにぎりでしたので、1つは持ち帰り、帰りの電車で頂きました。
感想、まとめ
帰りの電車の時刻に合わせ、10時のチェックアウトを延長し、のんびり滞在しました。内風呂は(確か)10時以降に清掃に入りますが、露天風呂は12時半のチェックアウトまで利用出来るのが嬉しいです。
原生林と岩山に囲まれた秘境の地にある桝形屋さんですが、建物も綺麗で、部屋も清潔感があり快適に過ごせました。過剰ではないが、行き届いたサービスも良かったです。
酸性の硫黄泉が体質に合っているのか、それとも姥湯温泉の成分が合っているのか、何度入っても湯当たりせず、気持ち良く入浴出来ました。家族に湯の花のお土産を渡すと、大変喜んでいたので、100gでなく200gにすれば良かったと後悔。宿に電話すると送ってくれるとの事、早速注文しました!
露天風呂への道にいたカエル。
ちなみに湯の花の使い方は、一度お湯に湯の花を溶かしてからお風呂に入れます。1回分の目安は5個くらい、という事ですが、貴重な湯の花なので…1、2個にしました。でも1、2個でも充分効果はありました。もちろん本場には敵いませんが、自宅で手軽に姥湯温泉を楽しめるのはいいですね!帰りも険しい山道を駅まで送迎して頂きました。
*ご予約は桝形屋さんの公式サイトまたは「日本秘湯を守る会」の公式サイトからお問い合わせ下さい。営業は毎年、4月末から11月の初旬迄ですので、営業期間もご確認下さい。
姥湯温泉 桝形屋
姥湯温泉 桝形屋
〒992-1303 山形県米沢市大沢姥湯1
TEL 090-7797-5934
姥湯温泉 桝形屋案内所
〒992-1205 山形県米沢市関根10348-19
TEL 0238-35-2633 FAX 0238-35-2095
今回の宿泊費/1泊2食付 大人1人¥15,000
昼食代 おにぎり¥470 味噌汁¥300
延長料金 ¥1,100
*全て税込価格です。
動画のご紹介
YouTubeでのご紹介はNGという事で、今回は姥湯温泉へのアクセスと峠駅の様子を動画にしました!
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